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フリースの醍醐味

羊の原毛屋・フリース専門店としてスピナッツは1984年にはじまりました。
「原毛って何?」「フリースって何?」と思われる方も多いことと思います。
フリースとは、毛刈りしたての羊一頭分の毛(羊毛・ウール)をさします。
原毛どころか衣料品すべてが安価に手に入る現代
「昔は糸を紡いでいた」と想像はできても
この時代に日本にフリース専門のお店があること自体、不思議に思われるかもしれません。

フリース一頭分を使うことは、魚一匹を料理することに似ています。
最上質のショルダー(肩)、メインのサイド(横腹)、毛が太くなるブリッジ(お尻)
乾燥しゴミの多いバック(背筋)、泥で毛先がフェルト化したベリー(腹)など。
例えば英国のチェビオットは部位差があるので、フリース一頭分からマフラー、セーター、靴下や敷物まで使い分ける楽しさは
素材を生かす創作欲がかきたてられます。
これこそスピナッツが“とりわけ英国羊毛を”一頭単位で売る理由です。

次に、フェルトやスピニングする人でも
糸になる前の羊毛を買いに、羊の牧場まで行く人はそれほどいないかもしれません。
けれど牧場やその先に、世界は大きく広がっています。
畜産、農業、林業だけでなく、紡績工場やファッションの世界まで
今まで接したことのなかった人たちへとどんどん繋がっていくおもしろさ。

それだけではありません、羊は肉と乳を人に与えてくれるので、食の世界とも繋がっています。
ラム肉料理は遊牧民の暮しへと繋がります。

羊から見える環境問題もあります。
1987年に英国シェットランド島からやって来たフリースは放射能に汚染されていました。
チェルノブイリから2400㎞離れているにもかかわらず
翌年毛刈りされ、日本に到着したフリースから放射能が検出されたのです。
一介の原毛屋とはいえ汚染された羊毛をどうするべきか思い悩みました。
遠くヨーロッパのことを自分のこととしてリアルに考えた衝撃的な事件でした。
羊を通して世界を見つめると、世界は身近なものになっていくはずです。

さて、糸を紡ぐことは昔から世界中でおこなわれてきたわけですから「世界共通語」ともいえます。
糸を通じて世界中の人と会話し、理解することができると私は考えています。
また、昔の染織品を見ると昔の暮らしも見えてきます。
素材や技法について復元しようとすることは、何百年も昔の人と対話しているような気分です。

「フリース―羊からはじまり、時間と空間を飛び越えて、人や物と繋がるおもしろさ」
30年以上経った今でもわからないこと、はじめて知ってびっくりすることがたくさんあります。
皆さまどうぞご一緒に、「スピナッツ」で羊毛のある暮らしを楽しみましょう。

代表 本出 ますみ